全国に指名手配されてから15年もの間、逃亡生活を続けていた福田和子元受刑者。
この事件は、世間が注目しただけに、これまで幾度となくドラマ化されています。
過去のドラマでは、女優の寺島しのぶが福田和子役を熱演。
中でもやはり見どころは、福田和子元受刑者が4年間潜伏していた石川県能美郡(現能美市)にある和菓子屋での一幕になるでしょう。
また、ドラマの中で和菓子屋の店名は出てこないと思いますが、あのゴジラこと、松井秀喜が通っていた店として有名です。
今回はそんな福田和子元受刑者が、なぜ被害者となった安岡厚子さんをあやめたのか?など、色々探ってみたいと思います。
福田和子が逃亡15年の中で働いていた和菓子屋
犯行後、15年もの逃亡生活をしていた福田和子元受刑者でしたが、当初は行く宛てもなく、ただ列車に乗り込んだだけでした。
最終的に行き着いた先は石川県金沢市。
福田和子元受刑者は、この場所で「小野寺忍」の偽名を使い、スナックのホステスとして働きますが、同時に整形手術を受けて顔も変えていました。
働き始めてしばらく経ち、常連客と親しくなっていった福田和子元受刑者は、生活費をもらうほどの仲になる男性の存在があったのです。
それが石川県根上町(現能美市)の和菓子屋の店主です。
和菓子屋の店主は、福田和子元受刑者と一緒に住むために、妻と離婚までしていて、2年8ヶ月の間、福田和子に店を手伝わせていました。
また、福田和子元受刑者も和菓子屋に自分の息子を呼び寄せるなどしていたのが、この事件のターニングポイントのひとつにもなっています。
その和菓子屋の店名は「松村松栄堂」だというウワサなのですが、それ以上に元プロ野球選手のゴジラこと、松井秀喜が福田和子のことを知っていたのには驚きです。
和菓子屋の松村松栄堂に松井秀喜が通っていた?
野球を知らない人でも「松井秀喜」の名前は、一度は耳にしたことがあると思います。
松井秀喜は石川県能美市出身で、星稜高校時代に出場した甲子園の対明徳義塾戦で受けた「5打席連続敬遠」は有名な話。
高校卒業は日本のプロ野球「読売ジャイアンツ」に入団してホームランを量産し、2003年、27歳のときにメジャーリーグベースボール「ニューヨーク・ヤンキース」に移籍しました。
ヤンキース時代は、2009年に世界一を決める「ワールドシリーズ」に出場し、優勝を果たすと同時にMVPを獲得。
ちなみに、ワールドシリーズでMVPを獲得した日本人選手は、後にも先にも松井秀喜しかいません。
後に、野球の実績が認められ、2013年には国民栄誉賞を受賞。
その松井秀喜は小学生のころ、当時、家が近所だった和菓子屋の「松村松栄堂」に、客としてよく買いに来ていたそうです。
そして、福田元受刑者が逮捕されたとき、潜伏していた和菓子屋についてインタビューされ、「きれいで愛想のいい奥さんだった」と福田和子の印象を語っていたのです。
被害者の名前は安岡厚子さん
1982年8月19日の事件が起きた現場は、愛媛県松山市勝山町1丁目のマンションでした。
当時、松山でホステスをしていた福田和子(当時34)は借金を抱えて、あちこちの消費者金融に手を出していたといいます。
その後、ついに自分の名前では借りられなくなり、友人などの名前を使って借金。
そんなときに知り合ったのが、同じ職場でホステスをしていた安岡厚子さん(当時31)でした。
被害者の安岡さんは、その美しい容姿から高価なプレゼントを客からもらうなど、指名も絶えない店の人気NO1ホステスで、金も持っていたといいます。
かなり追い詰められていた福田和子はそこに目をつけ、金を無心するため安岡さんのマンションを訪問。
しかし、福田和子は安岡さんから頼みを断られてしまったのです。
その後、安岡さんと一緒に酒を飲みながら世間話をしているうちに、金品を強奪する計画が浮かび、犯行を実行。
そして、証拠を隠すため、安岡さんを郊外の山林に遺棄。
行方が分からなくなった安岡さんの家族が警察に届けたことで、福田和子は危険を感じ、逃亡生活に入ることになります。
その後は整形や偽名を使い、約15年にわたって逃亡。
時効まであと21日だった1997年7月、福井市内で逮捕されたのです。
結局、逮捕された福田和子は、無期懲役の判決を受け、和歌山刑務所に服役中でしたが、2005年3月に脳梗塞のため、和歌山市内の病院で亡くなっています。
享年57歳。