大手広告代理店「電通」の女性新入社員・高橋まつりさん(当時24)の過労死。
労働局は、電通の東京本社と関西、京都、中部の3支社に対し、労基法違反の疑いで強制捜査しました。
なお、厚生労働省は、法人としての電通を労基法違反容疑で書類送検する方針を固めていて、同社の人事・労務担当幹部らを事情聴取しています。
そして、過労死事件の概要についてですが、高橋まつりさんは上司からの厳しい発言や、月に100時間を超える長時間労働。
連続53時間勤務を疑わせる入退館記録があったとされ、三田労働基準監督署が「過労が原因」と判断し、労災認定しました。
ですが、当の電通は「社員のことについては厳粛に受け止めております。」と、しながらも、労災認定については「内容を把握しておりませんので、コメントは差し控えます」と、沈黙を守っているのです。
一連の報道を受け、電通の仕事内容が「ブラック体制」だったことが判明。
ですが、肝心な高橋まつりさんに関係のあった上司の名前はこれまで報道されていません。
それには、電通が絶大な権力を誇示して、マスコミを支配してきたことが原因だったようなのです。
そこで今回は、高橋まつりさんにパワハラを行った上司の実名が報じられない件について調査してみました。
電通の過労死を認定
電通の過労死問題は、高橋まつりさん以外にも本社(東京都港区)に勤務していた男性側から労災申請がありました。
この労災申請に対し、三田労働基準監督署(東京)は、長時間労働による「過労が原因」だったと認定。
さらに平成3年8月にも、入社2年目の男性側が長時間労働を訴え、平成12年に最高裁が「過労が原因」と判断し、労災認定しました。
高橋まつりさんの場合も、上司から長時間の残業を強いられたのです。
しかも、上限を超えないよう残業時間を過少申告させられていたとか。
これだけでも電通は、ブラック企業なわけですが、高橋まつりさんは上司から「今の業務量でつらいのはキャパがなさ過ぎる」といった言動も受けていたというから驚きです。
それに、そもそも高橋まつりさんの過労死ですが、なぜ、上司の名前が報道されないのでしょうか?
電通の不祥事は過去にも数々起きていますが、今回ほど大々的に報じられたことはありません。
何らかの騒動を起こした社員がいても、報道では社名も実名も出ることはなかったのです。
高橋まつりの上司の名前が報道されない理由
騒動を起こした社員は、『これが電通の特権だ』と言っていたそうです。
ほかにも電通には、政官界からナショナルクライアント幹部の子息などが入社していて、警視総監の子息もいたのだとか。
各界のトップ層に網を張り、なにか起きた時に問題を封じることができる態勢ができていたようなのです。
たとえば、クライアント企業の不祥事についてマスコミが報じようとしているという情報を察知した際、これをもみ消しに動くということがあったそう。
クライアントからは『口止め料』として追加の出稿をもらい、これをエサにしてマスコミには記事の修正などを依頼していたようです。
実際、マスコミに『今後半年の出稿を約束する』と言って、記事が差し替わったことがあったというから驚きです。
そんな中でも、電通が強い影響力を持つのはテレビだとか。
新聞や雑誌と違い、テレビ番組は、広告料金だけで稼ぐビジネスモデルで、そのスポンサー集めを電通に大きく「依存」しています。
結局、テレビ局は、スポンサーの意向に反する番組は作れないし、そのスポンサーを集めてくれる電通とも絶対に喧嘩はできない。
テレビやマスコミが上司の名前はおろか、存在すら報じないのは、こういった電通の権力により、マスコミが支配されてきたことが原因だったようなのです。
電通のブラック体制は仕事内容もガチでヤバかった
電通には1950年代に当時の社長が示した「鬼十則」という仕事の心構えがあります。
こうした古い企業体質が問題視されているのですが、高橋まつりさんが所属していたのは、インターネット関連の広告を扱う部署で、仕事内容からして一番残業時間が長かったようです。
さらには、人手不足のうえに厳しいノルマまで課されていたといいます。
また、電通の仕事内容に裏事情があると元社員は暴露。
電通は、国民が気づかぬ間に儲かる体質をつくりあげていたそうなのです。
たとえば、デジタル化で正確な数値が出せるようになった視聴率は、あえて古いやり方。
デジタル放送の時代なのだから、サンプル調査なんて面倒なことをしなくても正確に、視聴率を測定する方法はいくらでもあります。
しかし、不正を行えるようにあえてこの古いやり方を続けていると、内情を暴露。
そのため、現在の視聴率調査はビデオリサーチ1社が独占状態にあるのです。
以前、視聴率を調査していた外資のニールセンは、 2000年に撤退させられているので、現在はビデオリサーチ1社だけです。
そのビデオリサーチは、驚愕の事実を抱えているのだとか。
なんと、筆頭株主の34.2%保有が電通であり、社長も、電通から送り込まれているそうなのです。
つまり、テレビの視聴率で 莫大な収益を得ている電通が、 その視聴率を操れる状態を保ち続けているというわけです。
そもそも、これまで電通に関しては時代により様々な伝説が語られ、 陰で強い力を持ったイメージが作られてきました。
電通としてもそれらをいちいち否定せず、むしろ放置してきたのは、そのほうが都合がよかったからだといいます。
しかもクライアントは、勝手に電通を頼ってくるし、メディアも勝手にいしゅくしていきます。
ですが、いまやその空想は崩れようとしているそうで、これに気付いた人たちが電通をこれまでのように恐れなくなっているのです。
そのため、今回の過労死問題ではマスコミが電通を批判するようになりましたし、こうした神通力はもはや通用しなくなっているようなのです。