米国のシリアルキラーによる未解決「ゴールデンステート連続殺人事件」の犯人が、2018年4月26日に逮捕されました。
42年にわたって未解決だったこの事件は、1976~1986年の間に米西部カリフォルニア州で発生。
犯人は元警察官のジョセフ・ジェームズ・ディアンジェロ(72)で、少なくとも12件の殺人と、女性50人の性的暴行、100件の住居侵入や窃盗を繰り返していたとみられます。
また、犯人のジョセフ・ジェームズ・ディアンジェロは逮捕時、自らが犯行を続けたカリフォルニア州のサクラメントの住宅街で、娘や孫と素知らぬ顔で暮らしていたといいます。
それにしてもなぜ、ジョセフ・ジェームズ・ディアンジェロは、42年もの間逮捕されなかったのか。
警察の発表によると、犯人・ジョセフ・ジェームズ・ディアンジェロの名前は、当初から捜査上に全く上がっていなかったといいます。
8000人を超える容疑者のリストがあったにもかかわらず、全ての容疑者の中に、ディアンジェロの名前はなかったのです。
そのため、FBIなどは、犯人逮捕につながる有力情報に5万ドル(約550万円)の懸賞金をかけていました。
すると、ようやく最近になって寄せられた情報から、ジョセフ・ジェームズ・ディアンジェロが捜査線上に浮上。
捜査員は犯行現場から採取したDNAのデータから、犯人の親戚の一人を突き止め、該当者を絞り込んで犯人を特定したということです。
そこで今回は、「ゴールデンステートキラー事件」をwiki風にまとめてみました。
ゴールデンステートキラー事件のwiki
「ゴールデンステート連続殺人事件」をwikiにまとめると、この事件は1976~1986年の間に発生。
犯人は、カリフォルニア州の俗称から「ゴールデンステートキラー(黄金州の殺人鬼)」と呼ばれたのです。
州内10郡で発生した事件は、当初1人で家にいる女性や、子どもが狙われていましたが、後に夫婦やカップルも襲われるようになっていきます。
また、犯行の手口ですが、生存している被害者の証言によれば、犯人は夜中、家に侵入。
そして、就寝中の住人に刃物を突きつけ「声を出すな!出せば殺す!」と脅して被害者を縛り上げ、女性に乱暴してから金品を奪って逃げたといいます。
さらに、縛り上げた被害者をうつ伏せに寝かせ、背中に食器などを乗せて、動けばすぐにわかるようにしてから、室内を物色。
そんな事件が相次いで起きたため、当時は、ショットガンを購入したり、番犬を飼い始める地域住人が多数出たというのだから、一連の犯行がいかに人々を恐怖に陥れたか想像がつきます。
なお、警察は被害者らの証言から多数の似顔絵を描き、犯人像を公開するも逮捕に至らず。
一方、犯人は捕まらないことを良いことに、警察やテレビ局に犯行声明を送りつけるなど、あからさまな挑発に出ていたのです。
そして、1979年~81年ころに犯人は、カリフォルニア州南部のサンタ・バーバラ周辺に出没して、犯行を重ねるようになっていきます。
犯人は、これまでの犯行と同様の手口で、6件の事件を次々に起こしては、闇に消える。
ちなみに、この時期は「オリジナルナイトストーカー」と呼ばれ、住民の恐怖心はピークに達していました。
その後、1986年5月4日に「オリジナルナイトストーカー」として、最後の事件が発生。
自宅に1人でいた18歳の女性ジャネール・リサ・クルスが、暴行された後に撲殺されたのです。
以来、犯人の足取りは途絶えていました。
また、当初、カリフォルニアの東部で発生した「東部の暴行魔」や、「オリジナルナイトストーカー」は、別の犯人の犯行だと考えられていたといいます。
ところが、DNA調査やプロファイリングの結果、2001年に同一犯によるものと断定。
そして、犯人の名はカリフォルニア州の俗称から、「ゴールデンステートキラー」と呼ばれるようになったのです。
ゴールデンステートキラー事件の犯人の生い立ちと経歴
ゴールデンステートキラーと呼ばれた事件の犯人・ジョセフ ジェームズ ディアンジェロの生い立ちは、1945年11月8日生まれの、ニューヨーク・バース出身。
そして、高校を卒業後は海軍に入隊し、ベトナム戦争に参戦するなど国のために戦っていました。
そんなジョセフ ジェームズ ディアンジェロの経歴は、警察官になるため、シエラ大学警察化学科を卒業し、オーバーン警察へ入署。
1973~1979年、カリフォルニア州内の2カ所で警官として勤務していましたが、33歳の1979年、小売店でハンマーと犬駆除剤を盗んだとして、有罪(6ヵ月の執行猶予と100ドルの罰金)を受けています。
このことが原因で警察官を解雇されたディアンジェロは、45歳頃から「食料品店の集配センター」の整備士を務め、2017年に退職しています。
ゴールデンステートキラー事件の犯人逮捕の決め手は?
米国では、1982年から1984年にかけて多数の売春婦を殺害後、グリーン川に遺棄して逮捕されたシリアルキラーのゲイリー・リッジウェイは、「グリーンリバーキラー」と呼ばれていました。
犯人のゲイリー・リッジウェイの生い立ちもまた、子供のころからディアンジェロと似ていて、高校卒業後に海軍に入隊しています。
そして、「ゴールデンステートキラー」よりも先の、シリアルキラーによる未解決事件といえば「ゾディアック事件」があります。
1968年から1974年にかけて発生した「ゾディアック事件」は、現在も捜査が継続中。
「ゴールデンステートキラー」が42年ぶりに解決したのに対して、「ゾディアック事件」は50年間犯人が捕まっていないのです。
ところで、ゴールデンステートキラー事件の犯人はなぜここにきて逮捕に至ったのか。
逮捕に至った決め手は、やはりDNAだったということですが、1980年代といえば当時のアメリカでも、まだDNA鑑定の技術は進んでいなかったはず。
それでも犯人と特定できたのは、以下のような方法を使ったからと発表されています。
ディアンジェロのDNA型を特定したのは、DNAデータベースだ。
だが、もう少し正確に言えば、カリフォルニア州警察は、DNAデータベースから家系図を調べる共有サイト「GEDマッチ」を活用しことから、ディアンジェロの逮捕につながった。
流れはこうなる。
カリフォルニア州警察は、DNAデータベースの共有サイト「GEDマッチ」に犯行現場に残されたディアンジェロのDNA(古い血痕や精液などの暴行物証を保存するレイプ・キット)を登録する→年齢や居住地から対象となる対象者を絞り込む→25家族約1000人の存在を把握する→血縁者10~20人を特定する→ディアンジェロのDNA型に共通するDNA型を持つ血縁者(マッチ)2人のDNAとディアンジェロのDNAを照合する→ディアンジェロを特定する。
引用元:ヘルスプレス
DNAデータベースは、自分の唾液を採取して送付するだけで、遺伝子情報を解析してくれるサービス。
42年間未解決だった事件の犯人が、DNAデータベースの共有サイトを利用することで逮捕へと至ったのは、市民などから寄せられた不審者情報でした。
この情報から「ゴールデンステートキラー」にディアンジェロが浮上。
そして、自宅を割り出し、廃棄物から採取したDNA型をDNAデータベースと照合したところ、被害者に付着していたDNA型と一致したのです。