2014年1月から4月の間に札幌市北区で発生した、「札幌連続ガスボンベ爆破事件」。
これは、札幌市北区の北海道警北署やイトーヨーカドー屯田店などで、カセットこんろ用のボンベによる爆発が相次いだ事件です。
犯人として逮捕されたのは、当時51歳の主婦・名須川早苗で、北海道警北署に恨みがあったことが犯行の動機だとされています。(画像あり)
また、激発物破裂などの罪に問われた名須川早苗は、公判で事件への関与を否認していましたが、一審と2審で懲役18年が言い渡されています。
そして、最高裁への上告を取り下げた現在は、冤罪を訴えながら実刑が確定して服役中。
現在は札幌市東区の札幌女子刑務支所に収監されているようです。
そこで今回は、名須川早苗の娘や夫、逮捕される前に出した「犯行声名文」などについて調査してみました。
名須川早苗の娘と夫
名須川早苗が「札幌連続ガスボンベ爆破事件」の犯人として浮上したのは、現場付近の防犯カメラの映像でした。
所有する車がタクシーのドライブレコーダーに映っていたのです。
その後、名須川早苗は任意聴取を受けるも、一貫して容疑を否認。
それでも警察は、名須川早苗の自宅を家宅捜索し、犯行声明文に使われたとみられるゴム印を押収するなどして、激発物破裂容疑で逮捕に踏み切ったのです。
名須川早苗の自宅の住所は札幌市北区屯田で、事件発生の3年前に、2階建ての一軒家へ引っ越してきたといいます。
(若い頃の名須川早苗)
ただ、近所付き合いはほとんどなく、近所の人があいさつしても無視して会話を交わさない。
いわゆる近所でも評判の変わり者で、これまでも短い間に何度も引越ししまくっていたそうです。
そんな名須川早苗の家族はというと、近所の人によれば、足の不自由な高齢男性と2人暮らしとの証言があるのと、娘らしい女性が時々、自宅に訪ねてきていたとか。
一説によると、名須川早苗は再婚して娘が1人いるらしいので、近所の人が話していた高齢男性と女性が、現在の夫と娘の可能性が高そうです。
なお、娘に関しての情報は少ないため、年齢など詳しいことは分かっていません。
ただ、娘が面会に来ても拒否しているということなので、あまり娘と仲良くない可能性はありそうです。
名須川早苗の犯行声名文
名須川早苗は、「札幌連続ガスボンベ爆破事件」を起こす前年の11~12月にかけて、コンビニ4店で年賀はがき計約1900枚を盗んだ「窃盗事件」の前科があります。
そのときに取り調べた警察官と警察署に強い恨みを覚え、犯行を思い立ったとみられています。
2014年1月27日-北海道警北署の駐車場2014年2月20日-札幌市北区のMEGAドン・キホーテ新川店
2014年3月18日-札幌市北区のイトーヨーカドー屯田店
2014年3月27日-札幌市北区のジョイフルエーケー屯田店
2014年4月3日-北海道警北署の道警官舎
犯人の名須川早苗は、2014年1月27日に北海道警北署の駐車場でガスボンベを爆発させた後、北署などに次の犯行を予告する「犯行声名文」を送りつけていました。
届いた犯行声名文は全文ローマ字やカタカナで、次の犯行予告以外に、恨んでる警察官の個人名も記されていたといいます。
さらに、犯行声明文に書かれた個人名は、年賀はがきの「窃盗事件」で、名須川早苗を取り調べた警察官の名前と一致。
警察は取り調べた警察官の名前までは発表していませんが、声明文に使われたとみられるゴム印を、名須川早苗の自宅から押収したことにより、逮捕に踏み切ったのです。
また、名須川早苗が用意した犯行声明文は、道警北署のほかに、北海道新聞社と北海道「文化放送(UHB)」にも届いていました。
中でも文化放送は、放送局キャスター宛てに届いていて、内容は犯人しか知り得ない記述が含まれていたそうです。
その犯行声明文は以下のように一部発表されています。
粛啓、UHB中川氏に意見いたしたく、書簡を出すことにいたします。
小生は番組中、爆弾魔と称されている者であります。
しかしながら、楽しんでいるわけではなくご理解されないと思われますが、小生なりの事情があるわけで、その全てを北署に書簡を7通だしておりましたが、中川氏が犯行声明も出ていないと言っておられたのを聞いて、とても驚いた次第であります。
今までの全ての現場において使用した材料、分量、時刻、目的、要求などを求めて参りましたが、ことごく黙殺された模様で小生としては北署には一切書簡を出さない所存であります。
この書簡がどのようになさるかは中川氏にお任せいたしますが、北署にもみ消されないことを望みます。
中川氏が自首を勧めておりましたが、申し訳ありませんが、ご希望にお答えすることができないことをお許しください。
全ての始まりが北署であります。対応、捜査、取り調べ、言動、態度、風紀、北署はどれもひどいものでございます。
小生はあまりのことに怒りで震え、悔しさで眠れぬ夜が何日も続いたものであります。
いままで一つ一つ積みあげてきたものが、一瞬で崩れて小生には何も無くなってしまい、残っているのは憎しみだけであります。
取り調べはいわゆる密室であり、想像もできない恐ろしいことが行われているわけであります。
ぜひとも取り調べ調査官を出し、監督対象行為の捜査をお願いいたしたい。
いつ、どこで、何がとは書くことはできませんが、北署は憎しみの対象ですので、北区だけではなく北署管内で次は22交番のどれかを目も当てられないようにしようかと考えております。
今回の事件にあたってたくさんの時間、お金、体力、知力を使い、緻密な計画、現場検分、試作品の作成、実験、そこでようやく本体の作成、前日に再度現場の確認、当時の天気を確かめて実行に至るわけでありますが、予想できないことが多々ありまして、3/27個室に40分前に入り、セットして退去の時をうかがっておりましたが、なかなか人が途切れず、最悪の状況に至ってしまいました。
個室の1番目は物入れで、2番目は洋式、3番目は和式、小生は火災報知機の遠いところが望みでありましたが、洋式は狭いので3番目にしたのであります。
ということで小生は左手にとてつもない大やけどを負ってしまい、病院にも行けず、とても難渋しております。
不運は続くもので、4/3、小生の前を歩く方がもしかして司法の方ではないかという予感が働き歩みを弱めて歩いていると、やはり目的の建物に入ってしまいそれによって時間をつぶさなくてはならなくなり、大幅に予定が変わることになってしまいました。
時間の変更で小生は電車に間に合わず、タクシーを使うわけにもいかず、ひたすら徒歩で帰宅です。
いまのところ模倣犯はないようです。北署、新川、屯田、新琴似、屯田、宿舎の6件、ガスなのかボンベなのか書けませんが、実行であれ未遂であれ、北署管内で起きたということが目的でありますので、結果は気にしておりません。
北署が謝罪会見を開くか、署長の退陣、〇〇、〇〇……あなた方にはくたばっていただきます。
初心を思い出し、三つの語句を心に刻み、区民のために働いて頂きたいと願います。
中川殿、この書簡の真意は便箋封筒が前回と同じなので北署に確認されたし。(全文カナ、〇〇は個人名とみられる)
激発物破裂容疑とは
「札幌連続ガスボンベ爆破事件」の犯人が女性で、しかも主婦ということ自体珍しいのですが、爆弾の製造方法を名須川早苗はどうやって知ったのか?
共犯がいるのか、それとも単独犯だったのか?
事件当初は物証に乏しいこと、逮捕された後にもガスボンベ爆破事件が起きたことから、「誤認逮捕」「冤罪」とささやかれていました。
そして当の名須川早苗は現在も容疑を否認し、無罪を訴えているそうなのですが、課せられた激発物破裂容疑とは一体どんな罪なのか?
激発物破裂罪とは、このように説明されています。
死刑または無期、5年以上の懲役という極めて重い刑罰が科せられる犯罪
被害者に死者が出ていないのに、懲役18年という重い刑罰が課されのは、こういった理由からだったのです。